#1 尊敬する人

尊敬する人がいる。私の父である。月並みな表現でしか、答えられないことが悔しい。育ててくれたから、親だから。それだけの話ではないのだ。

 

まず彼はものすごく博識で、文章が上手い。出版社の編集に文書を提出した際、修正はひとつも入らず、そのまま出版された。

 

また彼は、何よりも家族を大事にする人で、無償の愛を持っている。私が小さな頃、ものすごく怒られて、泣いていると、一冊の小さなノートをくれた。そこには私のいいところが、全ページにわたり、びっしりと書いてあった。文章が上手い彼だが、言葉より何倍も、行動で示す人なのだ。

 

そんな彼の一番の魅力を書くならば、とにかく不真面目なところである。どちらかといえば天才肌で、好まないことには努力をしたことがないのだ。そんな彼からすると、愚直で真面目な私は尊敬する対象らしい。

 

父であり、師であり、親友であり、悪友でもある彼は61歳になった。200歳まで生きてくれたらと思う以上に、美しいと面白いを素直に愛す彼にとって、素敵な日々が満足するまで続いてくれたら良いな、と思う。